農コラム
COLUMN

脱サラ農家への道:最初の一歩
脱サラ農家が教える、農業の始め方
2023.01.16

4年前に脱サラし農業を始めた「脱サラ農家」としての経験から、これから農家を始める方の参考になればと思い、私が取り組んできた事を少しずつ書き残していこうと思います。 農業は、実行してからその結果を検証するまでに最低でも1年を要します(作物によっては更に長い時間も必要)ので、少しでも参考にしながら最短で自立できる道を模索していただければと思います。

作業全体の把握と数値化

会社員から脱サラして農業を始めるにあたり、「農業を始めると決断する」「1-3年かけて脱サラ就農の準備をする」「貯金する」などのいくつかの前提事項がありますが、ここでは実際に農業を始めて1年目に必ずやっておくべきことを書いておきます。

まず、農業で生計を立てようとするときに必要な情報は下記です。

  • 作物別の見込み売上
  • 作物別の経費
  • 作物別の必要労働時間
  • 年間の生産計画(作物と栽培面積)

それぞれの作物には、播種(種まき)から収穫までの時期があるので、それらを考慮し1年の中でどの作物をどのくらい、どの時期に作ることで売上を立てるかを計画し、希望する収入との兼ね合いで微調整します。 しかし、1年目のペーペー農家にはこの数字が分からないわけです!! よって、農業を始める前には、主軸に考える作物のベテラン農家に研修に行って技術を学ぶことはもちろん、これらの数字を大まかに掴んでおくことが重要です。 その機会がない場合は、県などが出している農産物別のデータを活用しながら、この計画を分からないながらも立てる必要があります。 

各県で添付のような指標が出ていると思います。

このようなデータを基に大まかな計画を立てて農家の第一歩を歩み始めるむわけですが、これらの数字は抽出農家の平均による数字ですので、自分で栽培を行った場合は全然異なる数字になることを実感すします。 つまり、これらの数字を自分の技量とやり方の数字に修正しなければならないわけです。

農作業のWBS(Work BreakDown Structure)をつくる

私自身、前職がプラントエンジニアリング業界でプロジェクトを遂行する業務に関わっていたので、その知識は大いに農業に活かしました。 

まず農家1年目に作業の全体像を掴むために作ったのが、作物ごとの農作業WBS(Work Breakdown Structre)です。 WBSは、プロジェクトマネジメント業界で用いられる作業管理台帳のようなものですが、作業全体を計画するのに適した小作業項目に分解したものです。 

例えば、畑に苗を植える「定植」という大きな作業は、畑の準備の「施肥」「耕うん」「畝立て」などのいくつかの小作業に分解します。 この分解する作業の括り方は、細かすぎず自分の計画しやすい単位にすればよいです。

このように一つの作物についての作業を分解し、一つ一つの作業について1反当たりでどれくらいの労働時間を要するかを1年間かけて記録していきました。 これにより、自分なりにどの作業にどのくらいの時間を使うかの実績値が蓄積できます。 2年目からは、その数値をブラッシュアップするとともに、大きく時間を使っている部分には人を雇用して対応しようなどの対策を打つための資料にできたりします。

因みに、私が作っている作業ごとの労働時間をまとめた表を参考に添付しておきます。

年間作業スケジュールを記録する

先に述べた作業項目ごとの労働時間と共に必要なものが、その作業をするスケジュールです。 

農家1年目では、どの作業がいつ頃行われたかを日記なり作業記録簿なりに、確実に記録しておくようにしましょう。 その時に記録する作業の項目は、WBSで作った作業項目と整合性が取れているようにすると、1年を通してその作業に使った時間を合算してWBSへ落とし込めます。 参考に、私の作業日誌と作業カレンダーの一部を参考に添付しておきます。

私は日々の作業記録をExcelでつけていますが、最近はアプリなどで良いものもあるので、ご自身のやりやすい方法で良いと思います。

これらのデータを1年目で揃えられれば、2年目からの計画は自身の実績数値を使いながら、より自分に合ったものに出来ます。 年を重ねるごとに、得られる実績値も計画に近い結果が得られるようになります。 

今回の説明ではお金の数値は含んでいませんが、労働時間と共にそれぞれに作業に必要な物の費用を把握することは忘れてはいけません。 「労働時間」「 物の費用」「作物の売上」と「作物のスケジュール」が認識できれば、あなたも立派な農業人です! あとは、作る作物を増やしたりデータの蓄積量を増やしながら、自分の納得がいく経営に仕上げていくだけ☆ いよいよ、楽しい農業ライフのスタートです!

次回は、お金の事も少し話していこうと思います。 お楽しみに!